便秘は原因により大きく2つに分類されます
便秘にはいくつかの種類があり、その原因がはっきりしているかどうかにより大きく2つに分類されます。
便秘の分類
※原因がはっきりしない一般的な慢性便秘の多くは機能性便秘と診断されますが、腹痛やお腹の不快感の症状がある場合、「便秘型IBS」と診断される場合もあります。ご自身で判断せず、まずは医師に相談してみましょう。
原因がはっきりしている便秘―腸の器質的な異常が主な原因
● 消化器官の病気が原因の便秘(器質性便秘)
大腸がんやクローン病などの病気が原因で腸の構造に異常が起こり、便が通れなくなることで生じるタイプの便秘です。
便秘から腸閉塞に移行することもあるため、放っておかずに病医院を受診しましょう。
● 内科的な病気が原因の便秘(症候性便秘)
糖尿病やパーキンソン病など、内科的な病気の影響で生じるタイプの便秘です。
原因となる病気を治療中の方は、気になる症状を主治医に相談してみましょう。
● お薬の服用が原因の便秘(薬剤性便秘)
服用したお薬の影響で生じるタイプの便秘です。便秘に影響するお薬として、抗コリン薬や抗うつ薬などが知られています。
特に高齢者は多くのお薬を服用している場合が多いため注意が必要です。
原因がはっきりしていない便秘―生活習慣やストレスが主な原因
● もっとも一般的な便秘のタイプ(機能性便秘)
偏った食事や運動不足といった生活習慣の乱れや、ストレスなどにより、腸の働きが低下することで生じるタイプの便秘です。
もっとも一般的な便秘のタイプといわれています。便秘が解消されない場合は医師に相談して適切な治療を受けることが大切です。
● 腹痛・腹部不快感をくりかえすタイプ(便秘型IBS)
便秘や腹痛、お腹の不快感がくりかえしあらわれるタイプの便秘です。排便によって症状が改善するなど、思い当たる症状があり、不満や不安を抱えている場合には医師に相談してみましょう。 IBSは病医院で診察・治療ができる病気です。
IBSについて詳しくはこちら >
原因が複雑に絡み合う便秘もあります
便秘は大きく2つに分類されると上記で解説しましたが、さまざまな原因が複雑に絡み合う便秘もあります。便秘の原因については自己判断せず、医師による適切な診断・治療を受けることが大切です。便秘の症状に関する不満や不安を解消するためにも、まずは医師に相談してみましょう。
便秘の原因をもっと詳しくみる
便秘の原因について、もっと詳しくみてみましょう。
● 直腸・肛門付近の筋肉や感覚が弱まっている
便を押し出す力(いきみ)の低下や、骨盤底筋(腸や肛門周囲の筋肉)の運動障害、直腸の収縮力や感覚が低下すると、便意を感じているにもかかわらず、便が出しにくくなります。
● 食事の量や水分が足りていない
食事の量が少ないことにより便の量が少なくなったり、水分不足で便が硬くなったりすることで、排便の回数が減る、あるいは強くいきんでもなかなか便が出ないという症状が起こります。
● 便を運ぶ大腸の働きが弱まっている
大腸に便はたまっているものの、便を運ぶ蠕動(ぜんどう)運動が弱い、あるいは発生回数が少ないことで、排便回数が減少します。
● 病気で腸管が狭くなっている
大腸がんやクローン病、虚血性大腸炎などの病気が原因で腸管が狭くなり便が通過しにくくなります。
● 病気で腸の一部に異常が起きている
直腸瘤、直腸内重積、巨大直腸症、小腸瘤、S状結腸瘤などの病気によって、腸の構造に異常が起こり、便の通過を妨げるため、排便しにくくなります。